住宅ローンの金利タイプと借入先を選ぶポイント
住宅ローンの金利タイプと借入先を選ぶポイント
市場には、実に多くの住宅ローン商品が登場しています。
住宅ローンを選ぶ際に、「金利や借入先など比較軸がたくさんあって選べない」という方も少なくないでしょう。
ただ、それだけ多くの商品があるということは、「自分にピッタリな商品を探しやすい」ということでもあります。
住宅ローンは、いくつかのタイプに分けられます。
それぞれのタイプから、ご自身のライフスタイルや資金計画に適した商品を選ぶポイントをお伝えしましょう。
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1.住宅ローンの金利タイプから選ぶポイント
住宅ローンを選ぶ際、気になる項目の一つに「金利」があると思います。
トータルの返済額を少しでも抑えるには、できるだけ金利の低い商品を選ぶことが鉄則ですが、いま低金利の商品が自分にピッタリな商品とは必ずしもいえません。
なぜなら、商品によっては返済期間中に金利が大きく変動する可能性があるからです。
金利を軸に比べるときは、どのような金利タイプの商品なのかを知ることも大切です。
そこで、金利タイプの種類からご自身に適した商品選びのポイントをお伝えしましょう。
固定金利タイプの住宅ローン
市場金利が変動しても住宅ローンの金利は長期間変わらないのが、固定金利タイプの住宅ローンです。
このタイプは、固定期間によって大きく2つに分かれます。
一つが、契約時の金利が長期間(10~20年)適用され、その後、市場金利に合わせて見直されるタイプ。
もう一つが、契約時の金利が完済まで変わらない全期間固定金利タイプです。
いずれのタイプも、この後で紹介する変動金利タイプより金利は高い傾向があります。
とはいえ、金利上昇リスクは最小限に抑えられますし、全期間固定金利を選べば契約時に返済額や月々の支払額が決まるため、返済計画を立てやすいという一面もあります。
「金利上昇リスクをできるだけ防ぎたい」「可能な限り返済計画を変えたくない」という方は、固定金利タイプの住宅ローンが適しているでしょう。
変動金利タイプの住宅ローン
市場金利の変動にあわせて住宅ローンの金利が変わるのが、変動金利タイプの住宅ローンです。
金利の変動により利息を含めたトータル返済額は変わりますが、返済額の見直しは5年ごとに行う金融機関が多く、また市場金利が大幅に上昇してもトータル返済額のアップは125%を上限とするなど、できる限り金利上昇リスクを抑えるルールを設けています。
他のタイプと比べて金利が低いことが、変動金利タイプを選ぶメリット。
現在の低金利が長く続けば、トータル返済額をもっとも安くできるタイプといえます。
「返済額が増えても家計への影響が少ない」「借入額が少ない」という方は、変動金利タイプの住宅ローンが適しているでしょう。
固定期間選択タイプの住宅ローン
固定期間選択タイプは、固定金利と変動金利を合わせた住宅ローンです。
一般的には、契約時は短期間(10年以内)の固定金利で始まり、固定期間が終わったら変動金利に変えることもできます。
最初の固定期間の年数や、その後の金利タイプを決められるなど、選択肢があることが固定期間選択タイプを選ぶメリットです。
ただし、変動金利タイプのようにトータル返済額のアップを125%までとする上限ルールは適用されません。
市場金利が大幅にアップすると、トータル返済額も大きく増えるリスクがあります。
繰り上げ返済で総額を抑える手もありますから、「借入期間を短くする予定がある」方は検討してはいかがでしょうか。 -
2.住宅ローンの借入先から選ぶポイント
銀行や公的融資など、借入先によっても住宅ローンのタイプを分けられます。
借入先によっては金利優遇などの独自サービスを展開しているところもありますから、チェックしておきたいポイントです。
ここでは、大きく「民間金融機関」「公的融資」「フラット35」に分けて、それぞれの住宅ローンの特徴をみていきましょう。
民間金融機関の住宅ローン
民間金融機関は、銀行やローン専門会社などのノンバンク系が代表的なところです。
その数は豊富で、複数の商品を扱っている銀行もありますから、種類が豊富なことが特徴です。
金利や手数料などを比べながら「自分にピッタリな住宅ローンを選びたい」という方なら、民間金融機関の住宅ローンが適しているでしょう。
とはいえ、種類が多いと逆に選びにくいかもしれません。ここでは、「手数料」「審査の厳しさ」「柔軟な対応力」という観点から、民間金融機関から選ぶときのポイントをお伝えします。
(1)手数料
まず手数料には、住宅ローン契約時の融資手数料や、繰り上げ返済をする際の手数料などがあります。
融資手数料には、借入額を問わず一定金額の「定額型」のところもあれば、借入額の2%といった「定率型」のところもあります。
借入額が少ない方なら定率型のほうが手数料を抑えられるかもしれませんし、借入額が多いと定額型の方が良いかもしれません。
また、そのほかにもどのような場面で手数料が必要になるかもチェックしておきましょう。
(2)審査の厳しさ
次に、審査の厳しさについて。
一般的に、メガバンクやネットバンクは審査が厳しいといわれます。
メガバンクの場合、年収の条件設定が高いといわれ年収の少ない方だと審査に落ちる可能性があるようです。
また、ネットバンクは対面での取引ではありませんから書類上でチェックしなければならず、個人の事情などを含んでもらえないことなど審査が厳しいとされる一因でしょう。
比較的、審査が厳しくないのが、地方銀行。
家計状況など個々の相談に応じて、融通を利かせてくれるところが多いようです。
同じく、信用金庫や労働金庫、JAバンクなども、審査が厳しくないといわれます。
(3)柔軟な対応力
これも、地方銀行や信用金庫が得意とする分野です。
たとえば注文住宅を建てる際に、土地代や契約金を一つの住宅ローンで都度、決済してくれる金融機関もあります。
ネットバンクだと、対面での相談や個々の対応がしづらいこともありますから、フレキシブルな対応を求める方は、地方銀行や信用金庫を選ぶと良いでしょう。
公的融資の住宅ローン
公的融資には、国や自治体などが提供する住宅ローンがあります。
代表的なものに、勤労者退職金共済機構の「財形持家転貸融資」、住宅金融支援機構の「財形住宅融資」などが挙げられます。
公的融資は、民間金融機関の住宅ローンと比べて金利が低いこと、融資手数料や保証料といった諸費用が不要なことが、利用するメリットです。
一方で、これらの融資は企業の福利厚生として設けられているため、勤務先に制度がなければ使えないという点もあります。
また、自治体の融資だと金融機関のように何千万円も借り入れできるところは、ほぼありません。融資条件や金利も含めて、検討する必要があるでしょう。
フラット35の住宅ローン
フラット35は、民間の金融機関と住宅金融支援機構が連携して提供する住宅ローンです。
全期間固定金利のみで、保証料は無料、保証人が不要という点がフラット35の特徴。
金利上昇リスクがなく、諸費用を含めたトータル返済額を抑えられる点が人気の住宅ローンでもあります。
もう一つ、フラット35の魅力として、審査基準が厳しくないという点も挙げられます。
フラット35の審査基準は、収入と建物に関する技術基準が主です。
勤続年数や勤務形態を問わないことから、転職したばかりの人や自営業者に選ばれる住宅ローンという点も特徴となっています。
一方で、全期間固定金利タイプの住宅ローンですから、民間金融機関などの変動金利タイプと比べれば金利は高くなるのが注意点です。
なお、金利は提携している金融機関によっても異なります。トータル返済額を抑えるなら、金利の低い金融機関を選ぶこともポイントです。 -
3.住宅ローンの契約者から選ぶポイント
住宅ローンは通常、一つの物件に対する契約者は一人という商品がほとんどです。
ただ、夫婦や親子など複数人で契約できる商品もあります。
収入の要件を満たさず、希望借入額を受けられない場合などに使われる住宅ローンとして、ここでは「ペアローン」と「収入合算タイプのローン」ついて紹介しましょう。
ペアローン
ペアローンとは、一つの物件に対して二人がそれぞれローンを契約して返済していく住宅ローンです。
共働きの夫婦が利用するケースが多く、二人の収入を合わせることで借入可能額を増やす際などに使われます。
ローン契約は二件になるため契約時に必要な手数料は二倍かかりますが、住宅ローン控除もそれぞれ受けられますから節税効果も大きくなります。
また、団体信用生命保険も二人とも加入できますから、万一のときの安心感もあるでしょう。
「収入が少なく希望借入額が受けられない」「住宅ローン控除の恩恵を最大化したい」といった方には適したローンといえます。
なお、どちらかが失業したり産休・育休で収入が減ったりした場合でも、毎月のローン支払額は変わりませんから、資金計画は慎重に進めることが大切です。
収入合算タイプのローン
ペアローン以外にも、夫婦の収入を合わせて契約できる住宅ローンはあります。
たとえば、連帯債務で契約できる住宅ローン。
連帯債務とは、たとえば夫が契約者で妻を連帯債務者にするなど連帯債務者を立てて契約する方法です。
この場合も、二人の収入を合算でき借入可能額を増やせますし、連帯債務者も住宅ローン控除を受けられ節税効果が期待できます。
ペアローンと違う点は、一つの物件に対する契約者は一人であること。
そのため、契約手数料はペアローンよりも抑えられます。
なお、連帯債務で契約できる住宅ローンを扱っている金融機関は限られるため、選択の幅が狭まる点や、団体信用生命保険は連帯債務者が加入できない商品もありますから、自分に適した商品を選べない可能性があることが注意点です。 -
4.まとめ
住宅ローンは、単に金利を見比べて選ぶのではなく、自分のライフスタイルや考え方にマッチする商品を選ぶことが、スマートな利用法といえます。
ここで紹介した選び方のポイントを参考に、ぜひご自身にピッタリな住宅ローンを見つけてください。
「数多ある商品から、なかなか選べない」という方は、専門家に相談するのも一手です。
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