持ち家と賃貸はどっちがお得?それぞれのメリット・デメリットを年齢ごとに比較
持ち家と賃貸はどっちがお得?それぞれのメリット・デメリットを年齢ごとに比較
新しい住まいを選ぶとき、持ち家のマイホームを買うか、賃貸のアパートやマンションにするかで迷われている方も多いのではないでしょうか。
「マイホームを購入しても住宅ローンの支払いが続くのだから、このまま賃貸でも良いのでは?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
では、住宅にかける費用を抑えられるのはどちらなのでしょうか?
今回のコラムでは、持ち家と賃貸のメリットやデメリットといった特徴を比較するとともに、長い目線で考えたそれぞれの住居費のシミュレーション結果を紹介します。
持ち家か賃貸かで迷われている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
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1.賃貸のメリット
まずは、賃貸のアパートやマンションに住み続けるメリットを紹介しましょう。
初期費用が抑えられる
マイホーム購入でも諸費用込み、頭金込みのフルローンを組める銀行も増えてきていますが、諸費用が必要になるローンもあります。
賃貸の場合、敷金と礼金、不動産会社への仲介手数料など家賃の3ヵ月分くらいで新しい住まいに引っ越せることは大きなメリットです。
ランニングコストを抑えられる
住み始めてからのランニングコストも、持ち家と比べて安く抑えられる点も賃貸の魅力です。
照明や給湯器、エアコンなど備え付けの設備が故障しても、修理代は原則オーナーが負担します。
また、入居者は家財を補償する火災保険には加入する必要がありますが、固定資産税や建物に対する火災保険は、オーナーの負担です。
賃貸に長く住み続けると更新料が必要になるものの、基本的には入居者が家の維持費を支払うことはありません。
住み替えも容易にできる
持ち家の場合は住み替えがしにくいのに対し、賃貸であれば気軽に住み替えられる点もメリットです。
ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて住む場所や間取りを選べますし、近隣環境の変化や近所トラブルなどがあっても新しい住まいに引っ越せば問題が解決します。
新築物件ばかりを狙って住み替えれば、常に新しい設備に囲まれた暮らしもできるでしょう。 -
2.賃貸のデメリット
次に、賃貸のアパートやマンションに住み続けることの問題点やデメリットをお伝えしましょう。
品質は持ち家のほうがよい
賃貸マンションと分譲マンションを見比べると、外観デザインや設備、建物の構造など分譲マンションの方がクオリティは高いことがわかります。
これは、分譲タイプは長く暮らすことを前提に造られているからです。
もちろん、賃貸でもハイクオリティの物件がありますが家賃が高くなり、住宅ローンで同じクラスの分譲マンションを購入した方がコストを抑えられます。
改築や設備変更ができない
賃貸物件の持ち主はオーナーですから、オーナーの許可を得ず勝手に部屋の改修や設備などを変更することはできません。
それどころか、オーナーに無断で変更すると、退去時に原状回復費を請求され、余計な出費がかかりますから注意が必要です。
自分の資産にはならない
賃貸は、そこに住み続ける限り毎月家賃の支払いが続きますが、いくら支払っても自分の所有物になることはありません。
売却や相続といったことも賃貸の入居者には不可能ですし、建物に抵当権をかけて金融機関から融資を受けるといったこともできません。
なお、資産整理を検討されている方なら賃貸の方が有効でしょう。 -
3.持ち家のメリット
続いて、持ち家に住み続けるメリットを紹介しましょう。
ライフスタイルにあった家を手に入れられる
持ち家を買うメリットの一つが、自分好みに合わせた家を手に入れられることです。
ライフスタイルや家族構成、嗜好などに合わせて内装や外装などを好きなようにアレンジできます。
家族が増えたら間取りの変更や増改築をするのも可能ですし、逆に減れば広々としたリビングを確保できるなど、別邸に引っ越すことなく実現できます。
庭のある暮らしを楽しめる
庭付きの一戸建てを購入すれば、庭のある暮らしを楽しめるのも持ち家ならではの魅力です。
家庭菜園やガーデニングを楽しむのも良いですし、子どもやペットの遊び場としても活用できます。
賃貸でも庭付きの物件はありますが、基本的には共有スペースなので利用に制限がかかります。
自由に、ゆとりある庭づくりができることも持ち家ならではのメリットです。
老後も安心して住める
持ち家のオーナーは自分自身です。
住宅ローンを利用して購入してもローンが完済すれば自分や家族の資産になり、老後も安泰でしょう。
いつまでも家賃の支払いが終わらない賃貸と比べて、老後の蓄えを増やしやすいことも持ち家を選ぶメリットです。 -
4.持ち家のデメリット
持ち家を買うことで考えられる問題点やデメリットについても把握しておきましょう。
初期投資額が高い
賃貸に移り住むときと比べて、持ち家は初期投資額が高いことがデメリットの一つ。
前述のように頭金込み、諸費用込みのローンも増えてきてはいますが、すべての銀行が対応しているわけではありませんので、諸費用が必要になる場合もあります。
ランニングコストも全額自己負担
住み始めてからの住居費も、持ち家だとすべて自己負担になります。
照明や給湯、エアコンなど設備の交換は自由ですが、その費用は自らが支払わなければなりません。
また、固定資産税や火災保険の支払いも全額自己負担ですし、老朽化に伴うリフォーム費用も必要です。
毎月の家賃はありませんが、将来を見据えて資金計画をしっかり立てることが大切です。
住み替えがしにくい
賃貸のように、転勤や近隣トラブルなどで新居に引っ越すことが容易にできません。
売却して移り住むことは可能でもすぐに売れるとは限りませんし、いつまでも買い手がつかなければ購入金額より大幅に下がるケースもあります。
万が一、引っ越すことも考えて資産価値の高い土地や住まいを購入することも検討したいポイントです。 -
5.住居費シミュレーション:賃貸と持ち家、どっちがお得?
「住宅ローンの重荷を背負いながら持ち家を購入するくらいなら、賃貸に住み続けたほうが住居費は安くなるのでは?」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
では、長期的な視点で考えたとき、賃貸と持ち家とではどちらが住居費を抑えられるのでしょうか。
ここで、30歳から80歳までの50年間住み続けた場合の住居費を、それぞれシミュレーションしてみましょう。
賃貸に50年間住んだときの住居費
賃貸は、家族構成やライフスタイルの変化などに合わせて容易に住み替えられることがメリットです。
そこで、シミュレーションでは以下の3回のタイミングで新居に引っ越すことを想定します。
・1回目:子どもが生まれたときに、2LDKの賃貸に引っ越す
・2回目:小学校に入学するタイミング(7年後)で、3LDKの賃貸に引っ越す
・3回目:子どもが独立するタイミング(25年後)で、2LDKの賃貸に引っ越す
家賃は長野県佐久市の相場を適用します。大手不動産ポータルサイトによると、2LDKタイプは約6万円、3LDKタイプが約10万円です(アットホーム調べ:2021年12月現在)。
これが50年間続くと仮定します。
なお、管理費と駐車場代がそれぞれ月額3,000円、入居時にかかる敷金と礼金、仲介手数料を家賃の3ヵ月分とします。
また、賃貸は2年に1度の更新料が必要ですから、家賃1カ月分がかかると想定します。
さらに、引っ越し代として2回目と3回目にかかる費用各10万円(計20万円)も加えました。
以上の条件で、50年間賃貸に住み続けた場合の住居費をシミュレーションした結果は以下の通りです。
・家賃:4,464万円
・管理費:180万円
・駐車場代:180万円
・敷金・礼金等:66万円
・更新料:152万円
・引っ越し代:20万円
合計 5,062万円
出典:アットホーム
https://www.athome.co.jp/chintai/souba/nagano/saku-city/
持ち家に50年間住んだときの住居費
持ち家は、佐久市でもっとも多い4LDKタイプの新築戸建住宅を購入したケースで考えてみましょう。
佐久市の新築一戸建ての相場は約2,000万円です(アットホーム調べ:2021年12月現在)。頭金は物件価格の2割にあたる400万円を用意し、残り1,600万円を住宅ローンで借り入れることにします。
住宅ローンはフラット35を利用。35年固定で金利は2021年12月現在の1.33%を適用します。住宅ローンを利用する際には、金融機関への手数料が必要です。
また、登記費用などの諸費用もかかります。
これらの諸費用をまとめて物件価格の10%かかるものとします。
さらに、不動産取得税や固定資産税、火災保険料を加味するほか、設備交換やリフォーム費用に800万円がかかるとします。
以上の条件で、50年間持ち家に住み続けた場合の住居費をシミュレーションしましょう。
・頭金 400万円
・住宅ローン返済額 2,003万円
・諸費用 200万円
・不動産取得税 30万円
・固定資産税 400万円(年8万円)
・火災保険 50万円(10年で10万円)
・修繕・リフォーム 800万円
合計 3,883万円
出典:アットホームhttps://www.athome.co.jp/kodate/souba/nagano/city/
フラット35(ローンシミュレーション)https://www.flat35.com/simulation/simu_01.html
持ち家のほうが約1,200万円もお得に!
上記のシミュレーションの結果、賃貸で50年間にかかるトータルの住居費は5,062万円に対し、持ち家は3,883万円となり、持ち家の方が約1,200万円も安くなることがわかります。
そもそも賃貸は、オーナーも住宅ローンを利用して購入しますし、その上でオーナーの利益も家賃に含まれます。
そのため、持ち家を購入するよりも高くなるのです。
もちろん、駐車場が無料など家賃の安い物件を選ぶことで、持ち家よりコストを抑えることは可能でしょう。
しかし、上記の持ち家を購入するシミュレーションでは毎月のローン返済額は約4万8,000円です。
これよりも安い物件を選ぶとなれば、1LDKで50年間過ごさなければなりません。 -
6.年代別で比較する賃貸と持ち家のおすすめ度
賃貸が良いか、それとも持ち家が良いかという考え方は、年代によっても変わってきます。
若いときは賃貸で構わないけど、歳を重ねるうちに持ち家への志向が強まってくる方は多いです。ここで、年代別でどちらの方がおすすめかを考えてみましょう。
20代は賃貸が向いていることが多い
大学を卒業して就職したり、転勤や転職で地元を離れたり、結婚や出産で家族が増えたりと、20代はライフイベントの多い年代です。
こうした出来事に対応するには、賃貸のほうが適しているでしょう。
もちろん持ち家でも良いのですが、住宅ローンを利用する場合は金融機関の審査基準に「勤続年数」が求められる商品もありますので、その点には注意が必要です。
30代は家族の状況に合わせて決める
持ち家を検討し始める方が多くなる30代。
子どもが生まれたり小学校に入学したりするタイミングで、持ち家を購入される方が多く見られます。
子どもの人数によっても必要な間取りが変わってきますから、家族構成に合わせて賃貸または持ち家を検討しましょう。
40代は余裕のある資金計画がポイント
子どもが中学や高校へと進学するにつれ、生活費や教育費が増える年代です。
家賃や住宅ローンが家計に大きな負担となることが多く、余裕のある資金計画を立てることが大切です。
住宅ローンで持ち家を購入する方は、30年以上の長期借入が難しくなりますから、早めに行動しましょう。
50代はセカンドライフを見据えた家選びを
子どもが独立して、夫婦二人だけのセカンドライフが始まる頃。
最近では、郊外の街から便利な都市部のマンションなどに移住される方も増えています。
住宅ローンを利用する方は、頭金を多目に用意して借入額を減らすなど、審査に通るための工夫が必要です。
また、賃貸を選ぶ方もオーナーや不動産会社の審査があります。
いずれにせよ、定年前にセカンドライフを楽しむ住まいを決めておくと安心です。 -
7.まとめ
賃貸も持ち家も、それぞれメリット・デメリットがありますが、どちらの方がメリットを大きくできるかは、人それぞれです。
このコラムでは住居費のコストで比較し、持ち家の方がメリットは大きいと結論付けましたが、住まいを選ぶ基準はお金だけではありません。
ライフスタイルや嗜好によっても必要な住まいのカタチは異なりますし、将来を見据えることも家選びの重要なポイントになります。
マイホームは、「持ち家が欲しい」と考え始めたときが好機といわれます。そのときが来たら、資金計画を含めた将来のビジョンをできるだけ明確にして、土地探しや施工会社選びを始めましょう。