【2022年度版】住宅ローン控除の変更点!変更点や変更後の控除額を解説
【2022年度版】住宅ローン控除の変更点!変更点や変更後の控除額を解説
住宅ローンを利用してマイホームを購入された方には、「住宅ローン控除(減税)」という恩恵が受けられます。現在の制度は2021年度までとなっていますが、2022年度以降も制度自体は継続することが決まりました。ただし、内容が大きく変更となるため、これから住宅を取得される方は変更内容を理解しておく必要があります。
そこで今回は、2021年度までの住宅ローン控除の内容と、2022年度以降の内容を比べながら、変更点や控除額の変化を紹介します。
目次
-
1.住宅ローン控除(減税)とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して自らが住むための家を購入・増改築する人に対して、その金利負担の軽減を目的とした国の制度です。
具体的には、毎年末の住宅ローン残高に一定の控除率をかけた分を、所得税や住民税の額から控除されます。
2021年度までの制度内容だと控除率は1%ですから、仮に年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合、最大で30万円が還付されるという内容です。
ただし、収めた税金以上の額が控除されることはありません。また、所得税は全額控除できますが、住民税には控除できる上限額が決まっており全額控除にはならないことも把握しておきましょう。
これに加え、住宅ローン控除には限度額が設けられており、限度額以上のローンを借り入れた場合、それを超えた分は控除されません。
これも2021年度までの制度を例に挙げると、住宅ローン限度額は4,000万円(認定住宅などは5,000万円)ですから、残高が6,000万円あっても4,000万円または5,000万円に控除率1%をかけた40万円または50万円までの還付金しか受けられないことになります。
このほか、住宅ローン控除には控除期間があり一定期間は続きます。
また、所得制限もあるため、一定額以上の収入(年収)の方は利用できない点も注意が必要です。 -
2.2022年度の住宅ローン控除改正で変わること
上で説明した内容は、2021年度までのものです。
では、2022年度からはどうなるのでしょうか。
主な変更点を挙げると、以下の通りです。
・控除率は0.7%に引き下げ
・住宅ローン限度額の変更
・控除期間は原則13年に延長
・所得制限の変更
それぞれについて解説しましょう。
控除率は0.7%に引き下げ
控除率は、従来の1%から0.7%に引き下げられます。
控除率が下がる理由として、金利1%に満たない住宅ローン商品が市場にあふれていることが挙げられます。
住宅ローン控除は本来、金利負担の軽減を目的とした制度。
つまり、金利1%未満の住宅ローンを利用すると、利息支払額よりも控除額の方が多くなる「逆ザヤ」という現象が起きてしまいます。
これを問題視した国が、逆ザヤを解消するために控除率を引き下げたといわれています。
住宅ローン限度額の変更
従来の住宅ローン限度額は、新築の場合、一般住宅が4,000万円、認定住宅だと5,000万円の2種類だけでしたが、2022年度からは「一般住宅が3,000万円」「省エネ基準住宅が4,000万円」「ZEHが4,500万円」「認定住宅が5,000万円」の4種類に分かれます(いずれも新築の場合)。
また、中古住宅の場合は一般住宅が2,000万円、それ以外の住宅は3,000万円になります。なお、限度額は2024年度にも変更となる予定です。
控除期間は原則13年に延長
控除期間は従来の10年から13年に延長されます。
ただし、2019年から消費税率のアップに伴う特例で控除期間は現在も13年に延長されていますから、これが継続したとも考えられます。
なお、一般住宅だと2024年以降はまた10年に戻る予定です。
また、中古住宅は10年でこれまでと変わりません。
所得制限の変更
所得制限は従来の年収3,000万円以下から、2,000万円以下に変更されます。
年収2,000万台の方は、2022年度以降は住宅ローン控除の対象外になりますから注意しましょう。
新築住宅のみの変更点
このほかにも、新築住宅のみを対象とした変更点として「床面積の要件緩和」があります。従来は床面積が50m2以上の住まいが対象でしたが、2022年度からは40m2以上になるため、主に新築マンションを購入される方が恩恵を受けられるでしょう。
なお、2023年までに建築確認を受けていることと、年収1,000万以下であることも適用対象となる条件です。
中古住宅のみの変更点
中古住宅では、「築年数の要件緩和」があります。
従来の制度だと、耐火住宅は築25年、木造住宅(非耐火住宅)は築20年を超える中古住宅の場合、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書か耐震基準適合証明書(既存住宅性能評価書)の提出が求められました。
2022年度からは、新耐震基準に適合する「1982年以降に建築された住宅」はすべて適用対象になります。
このため、木造や鉄筋コンクリートを問わず、また築年数が40年近くの家でも証明書を取得する必要がなくなります。 -
3.住宅の種類別にみる住宅ローン控除の最大控除額【2022年度版】
従来の住宅ローン控除では、最大控除額は年間40万円(認定住宅などは50万円)、10年間で最大400万円(認定住宅などは最大500万円)の控除が期待されました。
2022年度から変更される内容だと、最大控除額はいくらになるのでしょうか。一覧表にまとめました。住宅の種類
年間の最大控除額
トータルの最大控除額
認定住宅
新築:35万円
中古:21万円
新築:455万円
中古:210万円
ZEH
新築:31.5万円
中古:21万円
新築:409.5万円
中古:210万円
省エネ基準住宅
新築:28万円
中古:21万円
新築:364万円
中古:210万円
一般住宅
新築:21万円
中古:14万円
新築:273万円
中古:140万円
2021年度までの内容と比べて、新築の認定住宅は年間15万円、新築のZEH・省エネ基準住宅・一般住宅は年間8.5~19万円も最大控除額が減ることになります。
新築住宅を購入される多くの方が、従来よりも住宅ローン減税の恩恵が少なくなると考えられるでしょう。 -
4.従来の住宅ローン控除よりお得になるケースもある
2022年度に改正される住宅ローン控除は、控除額が少なくなることから「改悪」という声も聞かれます。
しかし、条件によっては従来の控除額よりも増えるケースもあるのです。具体的なケースを、いくつか紹介しましょう。
中古のZEHか省エネ基準住宅を購入するケース
中古のZEHまたは省エネ基準住宅は従来、一般住宅に分類されていました。
2021年までの制度だと、中古一般住宅の最大控除額は年間20万円、10年間で200万円です。これが2022年度からは、認定住宅と同じ控除額を受けられるようになります。
つまり、最大控除額は年間21万円、10年間で210万円にアップします。
国は、中古住宅の流通促進にも積極的に取り組んでおり、そのなかでも省エネ性に優れた住宅は優遇したのではないかと考えられます。
借入額が多く扶養家族がいる家庭だとアップするケースも
住宅ローン控除で実際に受け取れる還付金は、納めた税額や扶養家族の有無によっても異なります。
たとえば、年収600万円で扶養家族がいる方の場合、従来の制度で期待される控除額は納税額からみて年間で約30万円、10年間だと最大300万円くらいでしょう。
ZEHの家を購入するために、4,000万円の住宅ローンを借り入れたとしても、最大控除額である年間40万円は得られないのです。
ところが、2022年度からは控除期間が13年に延長され、ZEHだと住宅ローン限度額が4,500万円に引き上げられます。
同じ人が4,500万円の住宅ローンを借り入れた場合、控除額は年間で約26万円と少なくなるものの、13年間だと最大325万円になります。
このように、「納税額」「扶養家族の有無」「家の環境性能」「住宅ローンの借入額」といった条件によっては、2022年度の改正案の方が節税できる方もいらっしゃるのです。 -
5.まとめ
2022年度から改正される住宅ローン控除では、従来の制度より控除額が減る方の方が多くなると見込まれます。
ただし、実際の控除額は人それぞれ異なるため、必ずしも「2021年度までの制度の方が良かった」とは言い切れません。
これからマイホームを購入される方で、実際にどれくらいの控除額を受けられるのかと気になっている方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するなど、あらかじめシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。