年収400万円の住宅ローン借入可能額は?3,000万円の借り入れはできるの?
年収400万円の住宅ローン借入可能額は?3,000万円の借り入れはできるの?
マイホームを購入される方の多くが、銀行を始め金融機関が提供する住宅ローンを利用されています。
住宅ローンの利用を検討する際に、「現在の年収でどれくらい借り入れできるのか?」と気にされている方もいらっしゃるでしょう。
年収に見合わない融資額を申し込むと、金融機関の審査に通らない可能性があります。
では、年収400万円だと住宅ローンの借入可能額は、どれくらいが目安になるのでしょうか。
また、3,000万円の融資を受けることは現実的なのでしょうか。
借入可能額や返済額の点から、「年収400万円の方が3,000万円の住宅ローンを借り入れる方法」について解説します。
目次
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1.借入可能額はどうやって計算する?
まずは、借入可能額の計算方法について紹介します。
借入可能額の計算方法は、金融機関によっても異なりますが、年収以外にも借入期間や返済負担率、金利、ほかのローンの借入状況などの要件を元に算出するのが一般的です。
ここでのポイントとして、「返済負担率」「金利(審査金利)」「ほかのローンの借入状況」について解説しましょう。
返済負担率は25%を目安に
返済負担率とは、年収に対する年間のローン返済額の割合です。
仮に、年収400万円の方が年間100万円のローンを返済する場合、返済負担率は25%(100万円÷400万円)となります。
多くの金融機関では、返済負担率を30%前後に設定しています。
年収400万円なら年間120万円前後、1ヵ月当たり約10万円が返済できる最高額となります。
ただし、年収400万円といっても税金などを差し引いた手取り額は300万円から330万円くらいの方が多いでしょう。
さらに、ボーナスを含めて年収400万円の場合、月給は25万円前後。
ここから住宅ローンの返済に毎月10万円を当てると、残り15万円前後で家計を回していかなければなりません。
家計の事情は人それぞれ異なりますが、ゆとりある生活を送るためには返済負担率を25%くらいに、ローン返済額に換算すると年間100万円以内に抑えることをおすすめします。
金利は「審査金利」で計算されるのが通例
金融機関が借入可能額を計算する際に使う金利は、現在の市場金利ではなく「審査金利」を使うのが通例です。
市場金利は日々変動しますから、30年以上におよぶローン返済中に現在の金利がずっと続くことはありません。
そこで金融機関では、将来の金利変動を見越して現在の市場金利よりもやや高い「審査金利」を使って借入可能額を試算しています。
審査金利は金融機関によっても異なりますが、おおむね現在の市場金利より1~2%高く設定しているところが多いようです。
ほかのローンの借入状況とは
ほかのローンの借入状況とは、自動車ローンやカードローンといった、住宅ローン以外の利用状況のことです。
金融機関では、こうしたローンの利用額や返済状況なども信用情報機関からリストを取り寄せてチェックしています。
なぜなら、利用額が多かったり返済に滞納履歴があったりする人は、住宅ローンの返済が滞る可能性が高いとみているからです。
ほかのローンの利用額が多い方は、住宅ローンの借入可能額が少なくなる場合がありますので、申し込む前にできるだけ完済または利用額を少なくされることをおすすめします。 -
2.年収400万円の借入可能額はいくら?
ここまで紹介した内容を踏まえて、年収400万円で住宅ローンの借入可能額についてシミュレーションしてみます。
シミュレーションの条件は以下の通りです。
・借入期間:35年(元利均等返済)
・返済負担率:25%
・審査金利: 2%
・他のローンの借入状況:なし(0円)
上記の条件で算出した借入可能額は、以下の通りです。
・借入可能額:2,515万円
・月々の返済予定額:8万3,312円
参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
https://loan.mamoris.jp/ -
3.3,000万円の住宅ローンの返済額はいくら?
続いて、3,000万円の住宅ローンを借り入れた場合の返済額についてシミュレーションします。
シミュレーションの条件は以下の通りです。
なお、金利については2022年2月現在のフラット35の金利を適用します。
・借入額:3,000万円
・借入期間:35年(元利均等返済)
・金利:1.35%(全期間固定)
上記の条件で算出したトータルの返済額は、以下の通りです。
・トータル返済額:3,765万9,981円
・毎月の返済額:8万9,666円
参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
https://loan.mamoris.jp/
トータルの返済額は約3,766万円ですから、年収400万円だと10倍近くの借金を返済することになります。
ただ、毎月の返済額だけをみると、借入可能額のシミュレーションで求めた月々の返済予定額に毎月6,000円ほど上乗せすれば、3,000万円の借り入れが可能だと考えられます。
これは、現在の住宅ローンの金利がとても低いからです。
ご存知の通り、金利は日々変動します。
1%の金利の違いで返済額は数百万円も異なりますし、「毎月6,000円の上乗せで、ワンランク上の家を購入できるかも」と甘く見積もると、後々の生活が苦しくなる可能性もありますから、しっかり計画を立てて借入希望額を決めることが大切です。 -
4.高い家はランニングコストも高くなる
とはいえ、理想のマイホームを求めてワンランク上の家を購入したいと考えている方も少なくないでしょう。
「家は一生で最も高い買い物」といわれますから、後悔したくない気持ちもわかります。
ただし、価格の高い家は住み始めてからのランニングコストも高くなりやすいことも覚えておきたいポイントです。
たとえば、毎年納める固定資産税や都市計画税。これらの税金は建物や土地の評価額に応じて決まりますから、高い家だと評価額も高くなり、納める税額もアップしやすくなります。
また、火災保険や地震保険なども、補償内容のほかにも建物の大きさや性能などの要因が保険料を左右します。
住み始めてからの諸費用が家計の負担になる場合もありますから、資金計画を考える際には税金と保険を含めて考えることも大切です。 -
5.年収400万円で3,000万円の家を購入する現実的な方法
上記シミュレーションの通り、年収400万円の方の借入可能額は約2,500万円です。
3,000万円の住宅ローンを借り入れようと金融機関に申し込んでも、審査に通らない可能性があります。
もちろん、金融機関によっては審査に通るところもあるでしょう。
しかし、返済が始まってから住宅ローンが重荷になる可能性も高まります。
では、年収400万円の方が3,000万円の家を購入するには、どうするのが現実的なのでしょうか。現実的な方法をいくつか紹介しましょう。
頭金を増やして借入額を減らす
もっとも堅実的な方法は、自己資金を増やすこと。
つまり、頭金を多くして借入額を減らすことです。年収400万円の借入可能額は約2,500万円ですから、頭金を500万円用意すれば3,000万円の家を購入できます。
借入額を減らすということは、毎月の返済額も減るということですから、家計に余裕が生まれることもメリットの一つです。
また、住宅ローンによっては頭金を多めに用意すると金利が優遇される商品もあります。
今の貯蓄から500万円の頭金を用意するのが難しい方は、両親などに援助してもらうことも考えてみましょう。
ペアローンなど収入合算タイプの住宅ローンを使う
住宅ローンの商品には、夫婦や親子など複数人の収入を合算できるタイプもあります。
代表的な商品が、「ペアローン」です。
ペアローンは、夫婦がそれぞれローン契約をして一つの物件を購入する住宅ローン商品です。
たとえば、夫も妻もそれぞれ年収400万円の家庭なら、合算して800万円の借入可能額の融資が受けられますから、3,000万円を借り入れることも可能でしょう。
ただし、ペアローンには注意点がいくつかあります。
たとえば、妻が産休や育休で収入がなくなったときでも返済は続きますから、夫が肩代わりしなければなりません。
逆に、夫の収入がなくなるパターンも考えられるでしょう。
どちらかの収入が一時的になくなっても返済が滞らないよう、しっかり貯蓄をすることがペアローンを利用する上でのポイントになります。 -
6.住宅ローン返済でギリギリの生活になるのを避けるには
ペアローンの説明でも触れたように、長い人生には出産や病気などによる収入の減少や、家族が増えたり教育費がかかったりして支出が増えるといった出来事が、いくつも想定されます。
こうしたときに、ゆとりある暮らしを崩さないためには、住宅ローンを借り入れる前に資金計画をしっかり立てることが重要です。
収入が減る時期、支出が増える時期などのライフイベントをあらかじめ想定しておけば、無理のない返済プランを立てやすくなるでしょう。
とはいえ、どれだけ綿密な計画を立てても、計画通りに進まないことも考えられます。
想定外の出来事で家計の負担が重くなったら、住宅ローンの返済計画を見直すことも大切です。
たとえば、銀行の窓口で一時的に返済額を抑えてもらえないかと相談したり、今借り入れている商品よりも金利の低い商品に借り換えたりと、方法はいくつかあります。
先々を見越して、繰り上げ返済をコツコツしていくのも一手でしょう。
大切なことは、住宅ローンの返済を滞らせないことです。
滞納が続くと最悪の場合、家が差し押さえられて競売にかけられる可能性もあります。
後悔しない人生を送る上でも、住宅ローンを申し込む前に「ゆとりある返済計画」をしっかり考えることが重要なのです。 -
7.まとめ
よくいわれる話ですが、住宅ローンで「借りられる額と返せる額は違う」という点は、覚えておきたいポイントです。
金融機関で借入可能額を算出する際には、それぞれの家計の事情やライフプランまでは考慮されていません。
借入可能額はあくまで一般的な目安ですから、同じ年収400万円でも支出の多い家庭だと家計への打撃が大きくなるのは当然でしょう。
現在の支出の状況はもちろん、将来の家計状況をしっかり見据えた上で、「毎月いくらまでなら返済できるのか」という視点も踏まえて借入可能額を算出すると、ゆとりある暮らしを実現しやすくなります。