病気で住宅ローンが組めないことがある?持病があるときでも住宅ローンを利用する方法

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病気で住宅ローンが組めないことがある?持病があるときでも住宅ローンを利用する方法

「病気で住宅ローンが組めないのではないか…」という不安をお持ちではありませんか?
持病を持っていたとしても、住宅ローンを組める可能性は十分にあります。

本記事では、持病があるときでも住宅ローンを利用する方法について解説します。

病気があると住宅ローンが組めないと言われる理由や、審査に通らないときの対処法についてお伝えしていますので、「マイホームを買いたいけど、病気に心配がある」という方はぜひご参考ください。

  • 1.病気で住宅ローンが組めないケースとは

    持病がある場合は、健康な場合に比べて住宅ローンを組むのが難しくなります。
    その理由として、金融機関が取り扱う住宅ローンは団体信用生命保険(団信)への加入が条件となることがほとんどだからです。

    団体信用生命保険とは、住宅ローンを借り入れる際に入る生命保険の一種で、死亡保障や高度障害補償を備える生命保険の一種です。

    万が一、契約者が死亡するなどの理由で住宅ローンを払えなくなると、家族が多額の負債を抱えてしまうことになります。
    団信は残された家族が住宅ローンの返済で困らないように救済するための保険制度です。

    一般的な団信では、契約者が亡くなった際の「死亡保障」と、重度の高度障害になった場合の「高度障害補償」が受けられ、残りの返済額を免除してもらうことができます。

    ※団信に、がん保障や、3大疾病特約(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、8大疾病特約(3大疾病+高血圧性疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患、慢性膵炎)をつけることも可能です。

    しかし、団信は生命保険の一種なので、健康状態が良くなければ審査に落ちてしまうことがあるのです。

    団信へ申し込みを行う際には「告知義務」があり、あらかじめ健康状態についての告知を行わなければいけません。

    少しでも審査に通りやすくするため、報告すべき事項があっても、よい健康状態であると申告したくなることもあるでしょう。

    しかし、告知書に虚偽の内容を書いてしまったり、告知すべきことを申告しなかったりすることは「告知義務違反」という詐欺行為にあたります。

    もし告知後にこうした違反が発覚した場合、保険契約や特約の取り消しとなるのです。

    そのため、告知書に記入するときはごまかすことなく正確に記すようにしましょう。


    団体信用生命保険(団信)の告知事項

    団信の告知事項にはどのようなものがあるのでしょうか。
    告知文には、以下のような質問が記載されており、記入して回答することとなっています。

    1)最近3ヵ月以内に医師の治療(指示・指導を含む)や投薬を受けたことがありますか。

    2)過去3年以内に次の病気で手術を受けたり、あるいは2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)や投薬を受けたりしたことがありますか。

    狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症、不整脈、その他心臓病
    脳卒中(脳出血・脳梗塞・くま膜下出血)、脳動脈硬化症、その他脳の病気
    精神病、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、薬物依存症、知的障害、認知症
    ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症
    胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、すい臓炎、クローン病
    肝炎、肝硬変、肝機能障害
    腎炎、ネフローゼ、腎不全
    緑内障、網膜の病気、角膜の病気
    ガン、肉腫、白血病、腫瘍、ポリープ
    糖尿病、リウマチ、膠原病、貧血症、紫斑病
    子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症、卵巣のう腫

    3)手や足の欠損または機能に障害がありますか。
    または背骨(脊柱)・視力・聴力、言語、そしゃく機能に障害がありますか。

    もし、これらの項目に当てはまる箇所がある場合には、包み隠すことなくできる限り詳細に回答するようにしましょう。

    過去3ヵ月以内に病院にかかった場合や、医師から投薬を受けている場合、過去3年以内に病気にかかった場合には申告の必要があります。

    たとえ持病を持っていたり、医師の診察や投薬を受けていたりしても住宅ローンに通らないとは限りません。
    持病があっても症状が安定していれば、団信に加入できる可能性があります。

    問題なのは、自己判断で過去の病歴を記入しなかったり、虚偽の内容を記入したりすることです。
    持病があっても症状や経過によっては審査に通る可能性があるので、詳細かつ具体的な内容を書いておくのが良いでしょう。

  • 2.団信に加入できなかったときの対処法

    もし、団信に加入できない場合には次の対処法を試してみてください。


    ワイド団信を利用する

    団信に加入できなかった場合、ワイド団信を利用するという方法があります。
    ワイド団信は、正式名称で「緩和条件緩和割増保険料適用特約団体信用生命保険」といい、通常の団信では加入できない人向けに、加入条件を緩和した保険のことです。

    持病を持っていて団信に加入できなくても、ワイド団信なら加入できる可能性があります。
    しかし、ワイド団信の場合は住宅ローン金利に0.20.3%上乗せされるので、通常の団信に比べて月々の支払額は増加します。

    頭金を多めに入れたり、無理のない範囲で返済負担率を見直したりと総支払額を抑える方法も検討しましょう。
    また、ワイド団信には取り扱い金融機関が少ないというデメリットもあります。

    しかし、住宅ローンを組める可能性が高まるので、団信に加入するのが難しい場合はワイド団信を検討すると良いでしょう。


    配偶者に団信をつける

    もし、自身が健康上の理由で団信への加入ができないのであれば、配偶者名義で団信に加入するという方法もあります。

    自分名義では難しい場合であっても、配偶者であれば審査に通過する可能性があるのです。
    仮に自分に持病があって団信の加入が難しい場合、一方の配偶者が住宅ローンの契約者となります。

    しかし、審査の対象は契約者の年収や勤続年数にくわえ、勤務先である企業の安定性にまで及びます。
    そのため、配偶者に住宅ローンの審査に通るだけの所得がある場合に限り有効な手段といえるでしょう。


    夫婦名義でローンを組む

    夫婦のどちらか一方でローンを借りるのが難しい場合は、夫婦名義で融資を受ける方法もあります。
    妻と夫それぞれが主債務者と連帯債務者となり、協力して住宅ローンを返済していくという方法です。
    この場合、主債権者のみ団信へ加入することを条件に契約が可能となります。

    夫婦名義で住宅ローンを借り入れ、団信へ加入できる健康状態の配偶者を主債権者とすれば契約が可能です。
    団信の審査はもちろん、金融機関の審査に通ることが必須の条件となります。


    団信への加入が任意のローンを利用する

    団信へ加入せずとも加入できる住宅ローンもあります。その代表的なものが「フラット35」です。
    フラット35とは「住宅金融支援機構」が運営する35年間固定金利の住宅ローンのことを指します。

    金融機関が提供する固定金利の住宅ローンと比べて非常に低金利なのがフラット35の利点です。
    フラット35であれば、団信への加入は任意なので、保険へ加入せずとも住宅ローンを借り入れることができます。
    そして、団信に加入しない場合には0.2%金利が低くなり、月々の支払い金額を抑えられることも利点です。

    しかし、団信へ加入しないということは、万が一の保障が受けられないということです。
    そのため、契約者が亡くなったときや病気で働けなくなったときに備えて、別途生命保険に加入しておくのが望ましいといえます。

    健康上の理由で団信への加入が難しい場合は、持病があっても入れる「引き受け条件緩和型の生命保険」を検討するとよいでしょう。


    保険会社を変更する

    団信の審査基準は保険会社ごとに異なります。
    そのため、1社の審査に受けたからといって別の保険会社でも落ちるとは限りません。

    通常の団信で複数の保険会社(金融機関)に申し込み、それでも審査に受からないときにはワイド団信で同じように複数の保険会社で審査を受けてみましょう。

    一度、落ちた保険会社とは別の保険会社と提携している金融機関で審査を受けると、審査結果が変わる可能性があります。
    もし、審査に落ちてしまったとしても、諦めずに別の保険会社での審査を受けてみてください。

  • 3.団信の告知義務に関するよくある疑問

    持病があると申告したら、団信に加入できない?

    持病がある場合、団信に加入できなくなることがあります。
    しかし、持病や疾病歴があったとしても、症状やその後の経過によっては認められる可能性があるのです。

    そのため、持病や通院歴がある場合にはできる限り詳細に告知しておくことを推奨します。

    また、通常の団信が難しい場合でもワイド団信なら加入できることがあるので、ワイド団信を取り扱っている保険会社を調べるのも一つの手です.


    告知した後でも特約を付けることはできる?

    団信は3大疾病や8大疾病、がん保障などの特約をつけることができます。
    しかし、契約後に後から変更することは基本的にはできません。


    告知には健康診断書が必要?

    住宅ローンを借り入れの際には、基本的に健康診断書は不要です。
    しかし、借入金額が大きい場合や8大疾病特約をつける際には健康診断書の提出が必要となる場合があります。


    一度団信に落ちたら、もう加入できない?

    いいえ、一度団信に落ちたからといって加入を諦める必要はありません。
    A社の保険会社で団信に加入できなかったとしても、B社では加入できるケースもあるのです。
    注意すべき点は単に金融機関を変えて審査を受けるのではなく、金融機関の取り扱い保険会社を確認するということです。

    団信の審査基準は金融機関ごとに異なるのではなく、保険会社ごとに異なります。
    そのため、ほかの金融機関で審査を受ける場合は、取り扱い保険会社を確認してから申し込むようにしましょう。

  • 4.まとめ

    病気があって住宅ローンが組めないときの対処法を紹介しました。
    もし仮に審査に落ちてしまったとしても諦めずに、さまざまな方法を試してみることをおすすめします。

    審査の結果は、疾病や障害が重度なのか、軽度なのかによっても変わります。
    まずは複数の保険会社の審査を受けてみて、難しいようであれば「ワイド団信」の審査を受けてみましょう。

    審査に通るのが難しそうだからといって虚偽の申告をする方法を選ぶのではなく、正直に申告した上で、いろいろな方法を試してみてください。